突然だが、学園は狙われている。
 そこで、話の都合上生徒会長になった俺はひとりの才能を見出した。落ち着いた物腰、燃え盛る正義感、容赦の無い審査眼、どれをとってもファッションチェックの某氏に引けを取らない。
 そして俺は彼女を風紀特任捜査官に任命した。二人三脚で学園に蔓延る悪と日夜戦うのだ、今日から。とどのつまりコレがデビュー戦。

「『1ねん2くみ、あまのみしお』……またの名を、スク水刑事ッ!!」
 真っ赤になって自棄っぱちに叫ぶ天野。こういう表情も良い。可愛いぜ天野。
「物腰上品だったこの私も、何の因果か落魄れて、今じゃ相沢さんの手先……」
 勢い良く啖呵を切ったと思ったら、今度は紅潮したままもじもじと小さく恥じ入る様子。
そんなところも可愛くてぎゅーだ。きゅーとだぜ天野。
「わ、わ、笑いたかったら笑って下さいっ! その方がいっそすっきりします(泣)」
「あははははははははははは───────────────────っっ!!」
 うわ、いつもの5倍増しの笑い? まあまあ佐祐理さん、天野も好きでこんな格好してるんじゃないんだから……。
「そ、そ、それを相沢さんが言いますかっ!?」
 校則第5章、風紀委員会。第43条第5項、『特任捜査官は任務遂行中に限り水着をもって制服とする』。いやあ、我ながら良い項を付け加えたもんだ。立法に関わるってこういう事なんだなあ。ビバ法治国家。
「はぇー。そんな項目が出来てたんですか?」
 なぜかあっさり代議委員会を通過しましたよ。
「こ、こんな学校いっそ滅びてしまえば……」

 天野、いい歌があるんだが、知ってるか?


──俺たちゃ裸がユニフォーム♪


 3日後、武力によるクーデターが勃発したが、その事については黙して語らず。