『女の子は何でできているの?
 女の子は何でできているの?
 お砂糖、スパイス
 世界中の素敵
 そんなものでできてるのよ』

──マザーグースのうた。



 かくして今日も百花屋は、女の子達で賑わう。
 お砂糖と、スパイスと、世界中の素敵がそこにあるから。
 名雪と香里も例外ではなく。

「そういえば、祐一って女顔だよね」
「え? そうね。どっちかって言うと女の子みたいよね」
 夏物の服について話していたときに、ふと思い出したという風に切り出した名雪。急に変わってしまった話題に香里は戸惑いながらも相槌を打つ。
「それでね、祐一にこないだごすろりっとした服を着せてみたんだよ」
「……そ、そんな事までしたのっ!?」
 イチゴサンデーを突付きながら何でもない事のように淡々と話す名雪に、びっくりの香里。名雪はそんな香里に軽く頷くと
「案外似合っててとっても萌えたよー」
と、何事もなげに言った。
「よく相沢君が着てくれたわね……」
 悪戯を咎められた子供のような表情で「ちょっと無理言っちゃったんだけどね」と名雪は弁解した。
「それでねそれでねっ! 祐一ったら怯えちゃって
『な、名雪……』
とか言って涙眼で見上げるんだよーっ!! もーあれは犯罪だよー可愛さで人が死ぬよー」
「いや、死ぬって……」
 興奮してぶんぶんとスプーンを振り回す名雪。そんな親友の姿に苦笑しながら香里は祐一を思い浮かべた。
 黒を基調にしたシックな、それでいて華やかな衣装を“着せられた”祐一。無理やり着せられたのか、あちこちが乱れている。膝上ソックスが片方だけずり落ちそうだ。
 ああ、ダメ。ダメよ相沢君。そんな切なげな目で見られたら、あたしも我慢出来そうにない……。
「……いいわね」
 堕ちた。
「うんっ!」
 やけに良い笑顔で名雪は頷いた。
「もうだめだよー。あれを見たら行くしかないよー」
「どこに?」
「天国っ!」
「……あ、あたしも連れて行ってっ!!」
 少女達は素敵な何かを手に入れたらしく。











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