意識下の感情がお弁当に与える影響についての考察

〜Consideratio de influxu quem animus conscius habent prandiis.〜




第1の話
Liber I.

「相沢さん、今日は本当にありがとうございました。このお礼は是非に」
「それなら……注文をつけてもいいか?」
「え? ……はい。構いませんけれども」
「俺、天野の手料理が食べてみたい。今度、弁当を作ってくれないか?」
 そんな、会話があったのは一体いつの事だったろうか。
 そしてそれに「はい」と答えてしまったのは何故だろう。
 解らない。
 私の手料理を食べたいと言った相沢さんの考えも、唯々諾々と承知してしまった私の気持ちも、それに……喜々としてお弁当を作っていた今朝の自分も。解らない。
 机の横に掛けた水筒と2つのお弁当箱入りの巾着袋。それが足に触れる度に意識がお弁当に向いてしまって、授業の内容は全然頭に入ってこなかった。
 取り留めの無い漠然とした思考は、まるで冷たく重たい水のように私を包む。何らかの解答が欲しくてもがいてはみるけれど、手に感じるのは冷たくて重たい水の感触だけ。
 冷たい水は身体も感情もクールダウンしてくれるようで、気持ちは良いのだけれども。
 ただ、陥る思索の内容が頂けない。
 一応授業中なのだから、こんな思索からは早く抜け出さないと。
 私は思索の水面を探して、再びもがいた。

 4時間目終了の鐘が鳴った。
 週番が号令をかけて先生に礼をする。そのまま机の横から巾着袋を取って、相沢さんの居る3年生の教室へ向かった。
 相沢さんの教室というのは校舎の1階にある。相沢さんは以前その事について
「少しでも遅刻しにくいってのは助かる」
と言って笑っていた。あの人と水瀬先輩の朝の1分1秒を争う攻防は全校規模で結構有名で、私が見るだけでも(こういうと私が相沢さんに注目しているようだが、決してそうではなく、始業間際に私の席から窓の外を見下ろせば目に入るのだ。偶然に)勝率は結構高いようだが毎回僅差での勝利だ。ちょっとした出来事――そう、例えば石に蹴躓けつまずくような――で、勝利は逃げていってしまうだろう。
 その事を相沢さんに指摘したら
「名雪がもう少し早く起きてくれたらな、そんな事は言わせないんだが」
と、ちょっと拗ねた顔で言っていた。
 それでも水瀬先輩(水瀬名雪が彼女のフルネームだ)を見捨てずに、遅刻ギリギリの攻防に付き合っている相沢さんは本当にお人好しというか、従妹思いというか。……これは誉め言葉だ、一応は。
 そんな事を思い出しながら階段を降りていると、後のほうから慌しい足音が響いてきた。
「わ、わ、先輩、危ないですよ!」
 危ないのは後から走ってくるあなたですよ、と思いながら脇に避けて後ろを振り返った。
「栞さん?」
 階段を走り降りるなんていう危険な事業にチャレンジしていたのは、1学年下の栞さん(本当は私と栞さんは同年齢なんだけれども、色々とあったのだ)だった。驚いたのは栞さんが大きな風呂敷包みを両手で抱えながら走っていた事。
 栞さんはよろけながらも、なんとかブレーキに成功して、私から5mほど降った辺りで停止した。
 振り向いてにっこり笑った栞さんは
「こんにちは、天野さん」
と言って深々とお辞儀をした。私もお辞儀を返す。
「こんにちは」
「天野さん、今日はどうしたんですか?」
 栞さんは、すこし不思議そうに私と、手に持った巾着袋に目をやっていた。
 確かに、普段は教室でお弁当をつついている私だから、こうして階段を降っているのは日常とかけ離れた風景に見える筈だ。
「ええ、今日は……いつもと違う場所でお弁当をと思いまして」
 私は巾着袋を少し持ち上げ――た所で、不意に恥ずかしくなり、言葉を濁してしまった。大体、お昼に男の方のために自作のお弁当を届けてあげる……これって、恋人同士がやることじゃないだろうか。今日の月曜日という曜日も問題だ。日曜日からうきうきしながら献立を考えて買い物をして、朝早くから幸せな緊張感に包まれながらお弁当を作って来た――そんなありもしない様子に見られはしないだろうか?
「むー。天野さん、顔が赤いですよ?」
 栞さんの指摘。やっぱりそう見られているのだろうか。
「まさか、祐一さんの所に行くところなんじゃないですか?」
「やっぱり判りますか?」
「むむ、バッティングですよ天野さん。私もこれから祐一さんにお弁当を届けに行くところです」
 ……持ってゆく日にちを最初に決めておかなかったのは失敗かもしれない。それよりもあの包みはお弁当箱だったのか。どう見ても1人や2人で食べるような大きさではなく、家族でお花見に行くんじゃないかというような大きさだ。
 それにしても意外なのは、栞さんと相沢さんが、お弁当を作って届けてあげる仲だったという事。
「栞さんと相沢さんは、その……お付き合いなさっているんですか?」
「むっ!? その質問、私に対する挑戦ですね、天野さん」
 栞さんの思わぬ剣幕に、私の足が一歩下がった。
「い、今はまだお付き合いしてませんけど……でも将来的には恋人同士になる予定ですっ!」
 栞さんの怒りの原因よりも何よりも、まず最初に思ったのは、どうしてこの人はこうもストレートに自分の希望を大声で表明出来るのだろう、という事だった。私には無理だ。
 それはさておき。
 これからの為にも、是非確かめておかなければならないことがある。
「あの、栞さん。今日は、その、お弁当を相沢さんに作ってあげるというような約束があったんですか?」
「……無いですけど」
 栞さんのちょっと膨れた表情は、とても可愛らしいのだけれど。私には、なぜかとても一言で可愛いとだけは言えない翳りが見えたような気がした。
 栞さんの返答で大体の事情は察せられた。おそらく、いつものように、栞さんがアポ無しでお弁当を作って相沢さんに持って行くところなんだろう。もしかすると、この量(見たところ三段の重箱らしい)を相沢さん一人で食べさせようとするんだろうか。
 今日の状況をちょっとシミュレートしてみる。さほど高度な思考をせずとも、相沢さんのお腹に栞さんと私のお弁当を両方とも平らげるだけの容量は無いと予測できる。しかし八方美人の相沢さんのことだ、きっと断りきれず(または義務感から)両方とも食べようとして……後は推して知るべしだ。
 そのような事態は未然に回避しなければならないだろう。どういう返事が返ってくるか簡単に予想できて、気は進まないけれど。
「栞さん。今日は相沢さんと約束があってお弁当を作って来たんです」
「そうなんですか?」
「だからすみませんが、相沢さんにそのお弁当は遠慮してくださいませんか?」
「嫌ですっ!」
 自分のお弁当を守るように抱きしめて、栞さんは拒絶した。予想したとおり。
 どうしたら良いだろうか。とにかく現状を整理してみよう。
 状況証拠と自供から栞さんは明らかに相沢さんに好意を抱いている。しかし相沢さんと付き合うまでには至っていない。なおかつお弁当を持ってゆく約束はしていない。一方、私はと言えば、相沢さんにお弁当を作ってあげる約束をしたが、いつに持って行くとは明言しなかった。そのために、今日は私の先約があるからとは押し切れない。或いは私が引き下がるべきか。今日作ったお弁当は無駄になるけれど、今日この日にしかお弁当を作れないという訳でもない。また明日にでも改めて持って行けば良いではないか。
「天野さんこそどうしてなんですか! いつもは祐一さんに興味の無い素振りだったのに、どうしてお弁当なんか持ってくるんですかっ!?」
 良案を考えあぐねていた私に、栞さんは鋭い口調で詰問する。自分の考えに没入していた私は虚を突かれてしまい
「え? ああ、それは相沢さんに頼まれたからです」
と考えもせずに答えてしまった。途端に固まる栞さん。
 後悔したけれども、それは正しく後の祭り。今までの会話からして、栞さんが今の答えをどう思うかなんて少し考えたら判るのに。
「……祐一さんに頼まれたって、それは本当ですかっ!?」
 ……最悪だ。これで栞さんは私の認識を『お弁当で祐一さんの気を引こうとするなんて卑怯です』から『不倶戴天ふぐたいてんならぬ、不倶戴祐一さん(ともに祐一さんをいただかず)の恋敵ですっ!!』と変えた事だろう。
 これは拙い。お弁当の事を云々されるのは別に構わないが、私が相沢さんに気があるように思われるのは迷惑千万だ(迷惑が相沢さんにとってのものなのか、私にとってのものなのかは、相沢さんの名誉の為に明言せずにおこう)。
 私は進路の修正をしなければいけないと咄嗟に考えた。このお弁当は決して相沢さんにアピールする為のものではない事を説明し、何とか私の認識を『無害で垢抜けないジミ子ちゃんですね』くらいに引き下げてもらわないと。それはそうと、ジミ子は酷いですよ。
「いえ……頼まれたのは、そうなんですけど」
「どっちなんですかっ!?」
 今日の栞さんは妙に押しが強い。
「ですから、私は別に相沢さんの気を引きたくてこうしている訳じゃなくて……、いえ、むしろ頼まれて仕方なくというか、自分からお礼に何かしたいと言い出したのは確かですが、別にそんな」
 私はといえば、栞さんの押しに当てられて言うべき事さえ満足に言えない。自分自身がじれったくてどうしようもない。こんな事が言いたいんじゃないのに、と言ってしまいたい。そんな言葉では栞さんに対する説明にはならないけれども。
 脳障害の中に言いたいことが文章に組み立てられないというものがあるそうだが、今の私の状態が丁度そんなものじゃないだろうか。
「むー!? それで、どっちなんですか?」
 栞さんは苛々と私に返事を促す。
「いえ、だから私は相沢さんが好きだからお弁当を差し上げるのではなく……」
「私は祐一さんと私の愛と未来を賭けているんですっ! 別に好きじゃないんだったら今日は天野さんが遠慮してくださいっ!」
 私の答え方は確かにはっきりしなかったかもしれない。栞さんは相沢さんの心を求めるあまりに私の事を目の敵にしているのだろう。それは解る。解るけれども、彼女の言いようは少し理不尽じゃないだろうか。
「栞さん。お望みならば相沢さんはいくらでもお譲りしますが、お弁当の方は相沢さんに頼まれての事です。事情も考えずに遠慮しろと言うのは、いささかいただけませんよ」


 空気が、凍った。


 冷静に考えてみたら。それは空気も凍ろうというものだ。栞さんの物言いにムッときたところで、誤解を解くことばかりに気が向いていて、言い回しにまで気が回らなかった。
 でも、一度口から出してしまった言葉は、もう二度と口には戻ってくれないのだ。
「望めば祐一さんをいくらでも譲ってくれるとは、随分と余裕綽々しゃくしゃくですね……」
 栞さんの声は、お腹の底から絞り出すような調子。
「栞さんこそ、自分の都合で人の約束を反故にさせるなんて、我儘が過ぎるというものです」
 私の言葉を聞いて俯いた栞さんの表情は、悔しそうな辛そうな色々と感情が混ざったような一言では言えないような表情。少し言い過ぎたかもしれない。
「わ、私だって祐一さんにお弁当を作って良いと言われました!」
 栞さんには栞さんなりの言い分や理由があるのだろう。それでも。
「『作って欲しい』、ではないのですね」
それでも、私は、多少キツい言葉を使ってでも我儘が過ぎる栞さんを窘める事自体は間違っていないと確信していた。
「それでは、祐一さんのお弁当の座を賭けて勝負です!」
 白状しよう。私はこの時、どうかしていた。
 キツい言葉を吐き出して栞さんを怒らせてしまい、彼女の挑戦にまんまと乗ってしまったのは、つまりは、そういう訳だ。



「で……」
 目の前には相沢さん。そして相沢さんの従妹の水瀬先輩、栞さんのお姉さんの美坂先輩、相沢さんのお友達の北川先輩が勢揃いしている。栞さんは漆に真珠貝の蒔絵が入った上品な三段の重箱、私は犬のような狐のようなイラストの入った少し大きめのお弁当箱、各々自分のお弁当箱を持ったまま、相沢さんの裁定を待っていた。
「俺はどうしたらいいんだ?」
 事情を聞かされた相沢さんは少し困った顔。美坂先輩は呆れた顔。
 どうしたら良いかと尋ねられて、私はついぞ考えなかった重要な事に気付いた。どうやって勝負するのだろうか。
 つい、と栞さんに目を向けた。
「祐一さん、食べ較べて下さい!」
 それは、相沢さんも私達も困るだろう。
 2つのお弁当は食べ較べで勝負を決するという贅沢が許される量ではない。特に栞さんのお弁当は。相沢さんの胃袋は有限の空間なのだ。
「無理だ」
 そのあたり相沢さんも同意見のようで、栞さんの意見は一言で斬り捨てられた。栞さんは不満そうに「むー」と唸るものの、逆らわない様子。どうやら大きなお腹を抱えて悶える相沢さんを見なくて済んだようで、私は少し安堵した。
 自分が安堵してしまったことに、少し引っかかりを感じたけれど、誰だって好きこのんで知り合いが苦しむ様を見たいわけじゃないから当然だと思って納得することにした。
「それじゃあ祐一さんはどっちのお弁当を食べてくれるんですか? 祐一さんが選んでくれた方が、これから毎日のお弁当を作ってくる事になってるんですよ」
 いつからそんな話になったんですか、栞さん。
「ちょっと待ってく……」
「あのね、栞」
 私の制止は、溜息ひとつとやんわりと私を抑える手に止められた。美坂先輩は栞さんを諭し始めた。
「相沢君は天野さんに弁当を作ってくれるように頼んだのよ。天野さんも約束を守って持ってきた。それは判るわね?」
「……判るけど」
 判るけど解りたくない様子の栞さん。
「ところで栞は、相沢君とお弁当を持って来るって約束してたの?」
「……してないけど、祐一さんは『いつでも持って来てくれて良いぞ』って言ってくれたもん」
 美坂先輩は相沢さんをひと睨みして私の方に向き直った。
「ところで天野さん。相沢君との約束は今日だったのかしら?」
「いえ。いつに持って行くという約束はしていませんでしたが、早い内がよろしいかと思いましたので月曜日の今日にしたのです」
 美坂先輩は黙って視線を相沢さんに向けた。心なしか視線がとても冷たい……。
「処置無し。相沢君、最良でも胃拡張くらいは覚悟しておきなさいよ」
「ぐぁっ!? 香里、滅茶苦茶に淡白だぞ」
「複数の女の子に弁当を作るように頼んでいた相沢君が悪いのよ。
 今回は約束を取り付けていた天野さんが優先されるべきだとは思うけど……。いつという約束もさせなかった挙句に、栞にまでいつでもお弁当を作って来て良いと相沢君自身が言ってたんじゃないの」
 相沢さんは助けを求めるように視線をあちこちに向け始めた。水瀬先輩は困ったような笑顔、だけど何も言わない。相沢さんと私の眼が合う。
(何とかこの場が収まるように助けてくれ)
と助けを求められたような気がしたが、気付かないフリ。
(天野〜)
無視していたら、相沢さんは更に弱った様子で私に視線を送り込んできた。
 私は少しだけ強い視線を返す。
(自業自得ですよ)
そんな思いを視線に篭めて。すると相沢さんは憐れを誘う表情で抗議する。表情が表情だけに哀切の感はひしひしと伝わるが、情けないことこの上ない。
「むーっ! 2人して見詰め合わないで下さいっ」
 栞さんの抗議に吃驚。一時とはいえ、彼女の存在をすっかり忘れていた。栞さんは相沢さんと私の事を誤解したのか、とっても不満そう。そういう誤解のされ方は、こちらの方こそ不満なのだけど。
 仕方が無い。次善の策を提案することにしよう。
「相沢さん、2つのお弁当を食べ較べるのは無理でしょう?」
「……栞の弁当だけでも無理っぽいんだがな」
 苦笑しながら相沢さんが答えた。栞さんはその言葉に覿面てきめんに反応して、ぷくっと頬を膨らませ抗議した。
「祐一さん、愛の力は人類の限界を超えるんですよっ!」
「確かに色々と限界を突破しちゃった観があるな、この弁当は」
 油断からか、相沢さんのその言葉が面白くて、思わず私は笑いを洩らしてしまった。
 栞さんはそれでまた頬を膨らませる。相沢さんも美坂先輩も、可愛いオコゼみたいな栞さんの様子をにこにこと見守っていた。私もそうしていたかも知れない。
 一瞬、穏やかになる空気。その空気に乗せて、私は一気に言った。
「それでは、今回は私の方が遠慮します。代わりのお礼は後日に必ず致しますので、今日はこれで失礼致します」
 勿論、私のお弁当が無駄になる事は残念で悔しい。はっきりしない相沢さんの態度には腹も立つし、栞さんに対して私が引き下がってしまう事が内心嫌じゃない訳が無い。だけれど相沢さんが消化器を傷めずになおかつ場を収める方法は、これしか思いつかなかった。
 胸の奥に淀み始めた感情が顔に出るよりも早く頭を軽く下げて、私は踵を返した。
 栞さんの慌てた声や、水瀬先輩のいつもより幾分かしゃきっとした(この様な評し方は先輩に対して失礼だろうけれど)声も聞こえたが、私にとって意味のある言葉には聞こえなかったので(何よりこんな醜い感情で歪んでしまった表情を人に見せたくないのだ)、私は教室の扉へと歩いていった。
 いきなり、左腕が後ろから引っ張られて、私は仰け反った。
 相沢さんだった。
「私が転んだら、どうするつもりですか?」
「引き止めて、最初に言う言葉がそれか」
 苦笑が顔に貼り付きっ放しの相沢さん。人の言動など放っておいて欲しい。
「悪かった。それで天野、その弁当はどうするんだ?」
 表情に考えが浮かんだのだろう、相沢さんは謝って表情を改めた。
「捨てます」
 余り物を後生大事に持っていても腐るだけだから。
「それは勿体無いだろう。勿体無いお化けが出るぞ?」
「相沢さんが全部食べてくだされば、問題はありません」
 おどける相沢さんが少し憎らしくて、棘を含ませた言葉を返してみる。全然堪えた様子も無いのは、この人の良い所なのか悪い所なのか。
「それも悪かったって。で、だな。俺独りじゃ無理だけど、みんなで食べたら良いんじゃないかと思ってな。どうだ、天野。あのメンバーじゃ嫌か?」
 相沢さんが指差した向こうには、さっきの人々が。水瀬先輩、美坂先輩、北川さん、栞さん。
 質問の仕方も卑怯だと思うが(『嫌か?』なんて尋ねられて素直に嫌と言える人は相当の無神経か、質問者を嫌っているかのいずれかに決まっている)、あの顔ぶれで私に否という答えがあろう筈も無い。
「いいえ、是非にお願いします」
 私は相沢さんと皆さんに頭を下げた。


(続く)



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2002/06/21 ラテン題訂正
2002/11/26 誤記修正(『をを』→『を』)